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「今月の終わりにね」
「ん?」
授業が終わり、教室へ戻りながら隣に並ぶ俺に不二が言った。
「あるんだって、ブルームーン」
「そうなんだ!」
「見てみたいと、思わない?」
「んー、そだなー、いつもと違うのかな」
「さあ…」
ふふ、と不二が笑う。 あー、これ好きだな、って思う。 なにか楽しい企みが隠されているみたいで、嬉しくなるんだ。
「でもさ、青くはないと思うよ」
「そう書いてあったもんね。 きれいに見えるといいな~」
「…家に、くる?」
不二の一瞬戸惑った問いかけに、俺は反射的にイエスを告げた。 あの日のキスを忘れてはいない。 自分の気持ちもちゃんとわかっている。 なにも考えていない。 そうかも。 きっとそれが正しい。 本当に、反射的だった。 友だちで居続けたいとか、不二とこの先どうなりたいとか、なにも考えていなかった。 ただ、不二との時間はとても居心地が良かったから、少しでも長引けばいいと思っていたのかもしれない。 不二は俺を見てにっこり笑った。 その顔も、やっぱり好きだと思った。
その日の放課後、身体を動かしたいといった俺に不二がついてきてくれた。 久しぶりのストリートテニス。 知っている中学生がまばらにいた。 今頃はだいたい部活だし、三年生はエスカレート式の学校でもほぼ受験生だ。 だから少ないのかも。 一度家に帰った俺たちは簡単なスポーツウェアに着替えてきていた。 コートに入ると誰かれともなく挨拶をした。 ダブルスの試合を申し込まれ、不二と組んだ。 やっぱり不二とのダブルスは変性だけどすごく楽しい。 気が合うっていうより先に、心があう? 身体や神経が先に反応する。 大げさだけど、魂があうって言葉があうように思った。 不二との呼吸はすごく心地良いんだよね。
帰りにファストフード店へ寄った。 大きいサイズのポテトを分け合って、不二はアイスコーヒー、俺はコーラ。 部活が終わることで、店内はいつでも小腹を空かせている学生たちでいっぱいだったから、店を出て少し歩いた先の公園のベンチで並んで食べた。 秋とはいえあったかい陽気のせいだったのかもしれない。 不二の隣だったからかもしれない。 疲れてお腹が膨れて満足した俺は、いつの間にか眠っていた。 不二の肩を借りて。 不二は俺が自然に起きるまで、本を読んで静かに待っていてくれた。 目が覚めたけど、もう少しだけ肩を借りることにした。
一陣の風。 夕方の冷えた空気で微睡みから覚めた。 不二の声が聞こえた気がする。 伸びをしながら、ありがと、と言いながら起きた俺に、不二はやっぱりにっこり笑った。
(続く)
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