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「ほえ? ブルームーン? て、なに?」
つぎの授業までのあいだ、少しざわついたパソコンルーム。 俺は不二の隣を陣取った。 不二の開いた画面を覗き込む。
「満月ってさ、普通だいたい、ひと月に二回もこないんだよ。 だからひと月に二回くる二回目の満月をブルームーンっていうんだって」
「へえ~」
開いたページの左上には「Blue Moon」と太く大きなゴシック体で強調されている。 ブルームーンのほかに、上弦・下弦の月など、月について科学的に説明しているサイトだ。 月齢も載っていた。
「なあ?」
「え?」
「上…げん?」
「ああ…上弦とか下弦って、月の欠け方とか向きとかだね。このサイトは月について科学的に説明してるんだ」
「ふーん…」
「なに? 英二、月に興味あるの?」
「いや、そういうわけじゃないけど。 なんか面白いかなって、ちょっと思う、かな。 不二こそ、興味あるんでしょ?」
「うん。昨夜、姉さんと話していたときに、大学の研究の話になってね」
「由美子姉ちゃん? 月のこと、勉強してるんだっけ?」
「んー、ちょっと違うけど。いま付きあってる人がね、そっち系の専攻してるんだって」
「…宇宙?」
「よくわからないけど、そうかな。でも、僕もやっぱり興味あるよ」
「ブルームーン?」
「そう、ブルームーン」
今度は名前について調べていた。 不二の手にかかると、簡単に目的のページがヒットした。
「んで?」
「うん?」
「くんの?」
「ブルームーン?」
「うん」
「うん、来月がそうなんだって。 ああほら、ここみて」
なおも同じ画面を覗き込みながら、そこに書かれている文面をざっと読む。 ブルームーンはその名のとおり『青い月』。 青い月なんて実際にはあまり見かけることはできないから、珍しいことの喩えでもある。 ブルームーンを見ると幸せになれるとも、反対に良くないことが起きるとも、 青い月をみたからって幸せが訪れるはずがない。 そんな子供だまし、俺だってわかる。 でも後者は…
「これ、ぞっとするよね」
後者はあり得るのかもしれない。
「月の引力に関係する海の満ち欠けみたいにさ、地球になにかもたらすのかもしれないね」
同じ部分を読んでいたのか、それとも俺がその部分に追いつくのを待っていてくれたのか。 たぶんあとのほうなんだけど。 スリルのあることが好きな不二は、少しだけ声が興奮していたと思う。
countinue...
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