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2025/09/13

東京の月 12

ちょっとエロ。不二さんお誕生日おめでとうございます。でも夏の話。





東京の月13




 不二の肩越し、黒いカーテン越しに届くひと際明るい月の光で、白んできていた空が薄暗く見えた。もうすぐ夏至だ。興奮冷めやらないのか、ひとの気配に緊張しているのか、いつもより早くに目が覚めた。仕込みは昨夜のうちに終わらせている。
 三年ぶりの彼はどこか浅黒く健康的だった。どんな時間を過ごしてきたのだろうか。なにをみてなにを感じた三年間だったのか。お互いに詳しく報告することはこれからもないんだろう。長旅で疲れているのか、まだ深い眠りのようだった。



「…ん」



 二度寝は数分だったか数時間だかよくわからないまま、なにかが柔らかに背中を這う微かな気配で起こされる。不二のほうを向いていたはずだけど、起きたらうつ伏せになって顔だけ不二のほうを向いていた。



「おはよ」
「不二? …おはよー」



 まだ目が明かないのと頭が起きてないのとで、唇に優しく押し当てられたものが一瞬なんだかわからなかった。骨ばった不二の細い指。ちょうど指をはむ位置にあるから少し舐めてみた。でもすぐに離れて、頬から首筋を辿ってまた背骨へ滑らせる。
 不二の指がもどかしい。背中をあがったりさがったり、昨夜つながった場所にいきかけて戻ったり、通り過ぎて内腿を探ったり。




「不二?」
「うんー、ね? どうしようか、はは」



 こういう時の優柔不断はきっと一生なおらない。俺は持ち前の寝起きの良さでだんだん覚醒していた。不二のほうへからだを向きなおそうとしたら、そっと肩においた手のひらでとめられた。




「そのままで…」




 彼はきっと自分勝手なセックスをしない。それは当たっていた。でも久しぶりに触れ合った熱はそう簡単に冷めない。お互い様だと思うし、現実的には時間もない。触れる指先はもうしっとりしていた。

 不二が、軽く跨ぐようにして背中に乗りかかってきた。腰に当たる熱が具体的すぎて軽い眩暈を覚えた。あいだに入れられた片脚で、自然に躰が開き始める。




「英二…」




 切なそうに霞んだ声が愛しくて、思わず不二を求めた。




「も、入れて」
「え? でもいきなりはきついんじゃない?」




 躊躇する間を与えない。彼の手をとって俺と不二のあいだに誘導し、二人分の人差し指を自分のなかに入れた。流石に少しきつい。だけどまだ彼を迎えてから数時間しか経っていない。それにこれ以上、焦らされたくない。
 性急に、不二の指が動かされた。まるで違う生き物みたいにふたりの指が交差する。彼の指が良いところを刺激して、思わず声が漏れた。




「ん、くっ!」
「大丈夫?」




 指の動きはでも一層激しくなり、彼が三本入れる頃には自分の指を抜いていた。シーツを掴んで刺激に堪えながら、つぎを誘う。




「も、いいよ… はやく」
「うん、ちょっと準備するからこのまま待って」
「俺、やったげる」




 指が抜かれて気怠くなった腰を起こす。口でやる? と上目遣いしたら、また今度と笑われた。ゴムとローションで丁寧に包(くる)んで、不二に向き直る。




「腰あげて」



 そう言われて膝立ちになる。もう一度指で解されるのかと思ったら、両手で腰を掴まれ腰を下ろしながら不二の圧倒的な熱を差し込まれた。ゆっくりと時間をかけて、留まることなく深い場所まで到達した。不二も俺もほっと息を吐いて、思わず顔を見合わせて笑った。



「やっぱり好きだよ、不二のこと」



 彼の肩と頭を抱きしめた。
 暫く俺の胸に大人しく抱えられていた不二が、静かな声で抑揚なく話だした。



「現地でたくさんのひとに会ったんだ」



「うん」



 あまり相槌を打たないほうが良いのかもしれないと思いながら、控えめに返事をした。



「当たり前だけど、こことはまるで違う環境でさ、でもみんな一生懸命生きてるんだ
君に似た子もいたよ?」
「そうなんだ!?」
「ふふ、浮気はしてないよ」
「不二が俺以外に反応しないってわかってるって」



 少し明るい声に安心した。



「でもその子の兄さんが死んだんだ、熱病で簡単にひとが死ぬ」



 そういうことが嫌になって帰ってきたわけじゃないだろう。一度決めたら折れないひとだと知っている。自分もだけど、だからこそ俺たちは、始めるまでに何年ものブランクが必要だった。



「英二にすごくね、会いたくなった
愛するひとの傍で生きていきたい、って心から思ったんだ」



 不二は泣いていた。俺は不二の髪を優しく撫で続けた。きょうの天気は晴れのようだった。世の中はようやく出勤や投稿の準備をするため起きだしたころだろう。だけどここは、この部屋だけは、世界のどこからも切り離されたかのように本当に静かだった。



「不二」
「…うん」
「顔あげて…」



 初めてみた泣き顔はとてもきれいだった。不二の涙を舐めて、キスをした。次第に深くなるキスで熱が再燃する。躰の奥がうずきはじめた。どちらからともなく腰が揺れる。キスは更に深くなる。絶頂はすぐにきた。



「まだ抜かないで…」



 向かい合い抱き合った体勢のまま、まだ不二を感じていたかった。顔をみて改めて「おかえり」というと、不二は照れたように「ただいま」と笑った。表情が豊かになった彼に少し驚いていた。不二の選択は間違っていない。自分もこの三年で少しは成長していると良いと思いながら、彼の額にキスをして、切り替えるように言った。



「朝ごはん作るから、シャワー浴びといでよ!」



 ふたりでベッドを降りて朝の準備に取り掛かった。汗ばんだシーツが名残惜しかった。



「くしゃくしゃだね、あとでリセットしとくよ」



 今日は殆ど家にいるらしい不二も、笑いながら見下ろしていた。



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2016/02/21 by ugetsu

サイト統廃合の言い訳

サイトの本体を移設しました。 入り口はそのままです。

  サイトの裾野をどんどん拡げるものだから収集つかない状態になってしまって、管理人のなかではきっちり区切りをつけていても、見る側からはわかりにくかったと思います。
 また、久しぶりにパソコンを開いてサイトを確認したところ、とても見づらい状態になっていました。 CSSを見直すのは面倒なので、いっそ統廃合した次第です。 結果、UGETSUとHATORIがおなじレベルに。 ちなみに、わたしのなかではUGETSUが上位にあり、それについでHATORIとYOSHIOがあります。 が、そんなことをしているからわかりにくいんですよね。 HATORIのサイトはひとつですが、UGETSUとYOSHIOは多岐に渡ります。

 なお、HATORIの短篇・掌編小説は徐々にUGETSUへ引き渡します。 でもHATORIが消えるわけじゃありません。 UGETSUが包含するだけです。 入り口は少ないほうがわかりやすいと思うのは先に述べましたが、あとひとつ、スマートフォンの普及があります。 携帯電話用にサイトを作り替えたりはしませんでしたが、提供されているブログであればテンプレートが簡単に入手されますしね。 今回つないでいるUGETSUのブログは、もともとHATORIの入り口と同じ場所になります。 最終的には収集できたような。



 勝手なことを書き連ねました。 これからもどうぞよろしくお願いします。



2013/08/15 by ugetsu

あまりの更新なさに…

 ここに書いたメモはいずれ清書して本家にアップする予定だったんですよ、と言ってみる。 まあそうなんですけど、あまりの更新なさに、メモをみっつほど整理してみました。
 菊「なんの冗談?」・不「なんで冗談?」のやりとりが個人的には気に入っています、自己満足(笑)

 もう記事、こっちに書くのがおおいな。 整理するならこっちに集約なんだけど。 引っ越しめんどくさいww

 またちょいちょい、メモを引っ張り出そうかと思っています。
 夏ですね、砂糖吐きそうなほど甘い不二菊に会いたい(´艸`)
 わたし甘いもの食べないから、不二菊で充分ですvv



 今夜は一週間ぶりの堂兄ですね!!
 もうすぐ彼らはデビュー15周年。 再来週7.21には15周年! お祝いに、堂兄ゲストですよ、7/22OAが楽しみだな~♪

2012/07/08 by ugetsu

5月5日はftrが出会った日!

 今日、5月5日はK3のおふたりがであった日です。 もうあれから21年目。 なんと20年も一緒にやってきたんですね、感慨深い。 その間わたしはといえば、熱狂的であったりそうでもなかったり、いろんな曲折を経ていまに至ります。 もうライフワークのように好きです、これだけは変わらない。

 ftr活動は年々減りますが、どこか特別な絆を感じるし、なによりふたりが異口同音、これからも続けると言っているので信じています。 だからこれからも大好きだ!!!



 不二菊です。 メモです。 メモばかりですみません…




 同じ学年のテニス部メンバーのうち、手塚と大石以外はみんな同じ青春学園の高等部へ進学した。 不二と菊丸が同じクラスになることはなかったが、親友のようなセックスフレンドのような恋人のような関係は続いていた。 放課後、毎日のように会っていたことがある。 会うたび、身体を求めてしまう。 普段は負担をかけないよう、最後まではしない。 それでも信じられる気持ちがあれば充分だった。

 このごろ菊丸は、不二の部屋にあまり来ない。 不二も声をかけない。 菊丸の部屋に不二が訪れることもない。 部活では顔をあわせるし、体格が似ているからペアになって練習したり、前触れもなくダブルスを組んでも変則的にあわせたりすることはいまでもできる。 傍から見れば、いまでもふたりはとても仲の良い親友同士だった。
 菊丸はほかの友人や同級生などと、よく出かける。 それは中学のころからと変わっていない。 今日も菊丸は部活の後輩にファーストフード店へ誘われた。 背中で聞いていた不二は着替え終わって荷物を肩にかけ、部室を出ようとしていた。

「不二ー、一緒にいこうよ」

 不二が応じることはもともと少ない。 不二は声がしたほうへ振り向きざま、即答した。

「いいよ」
「へえ、珍しいじゃん」
「たまにはね」
 

 本当は小遣いが少なくなってくる月の中旬以降は菊丸もなるべく避けている。 だがここ数か月、多少無理をして出かけていた。
 後輩を交えて数人、ファーストフード店のボックス席を陣取った。 課題を教えてほしいと言われ、1時間コーラ一杯で菊丸が応じていた。 不二は最初驚いたが、なにもいわずその光景を見ていた。 ときどき口を挟む。 不二が言っていることは余談の類で、コツや覚えやすいエピソードなどだった。
 計ったようなふたりの間に、敏感な後輩は気づいていた。 このごろ放課後ふたりが一緒に帰らないことにも。

「あー終わった! ありがとうございます、英二先輩、不二先輩」
「どういたしましてー」
「英二、僕は先に失礼するよ」
「え、なんか用事あった?」
「うん、思い出したんだ。 悪いね。 誘ってくれてありがとう」
「不二先輩、息抜きにきたのに課題させちゃってすみません」
「いや、気分が変わって良かったよ。またあした」

 早々に立ち去ろうとする不二を、菊丸が追いかけた。

「不二、ちょっと待って! 俺も帰るから!」
「君はまだいたらいいじゃない。 せっかくコーラも奢ってもらうんだし」

 菊丸はピンときた。

「やっぱり俺も帰るよ。 みんなごめんな」
「じゃあ、コーラはあしたスポドリで返します」
「うん、サンキュー」

 不二は後輩の財布事情を察したのではないか。

「英二まで一緒に出てくることなかったのに」
「いいんだよ。 それより不二」

 店を出たところで立ち止まる菊丸にあわせて、先に行きかけた不二が振り返った。

「いまから不二ん家、行ってもいいかな」

 いつもどおりの笑顔で聞く。 ここ数か月のブランクをまったく感じさせない表情に、不二は仕方ないなと言って笑った。




 倦怠期打破も自然な感じで元どおり。 結局ふたりはお互いを信じているということで。


2012/05/05 by ugetsu

整理

 整理したいなと思うんですが、広げすぎちゃっててね(笑)
 でもなんだかやっぱりここは不必要じゃないから。



 ところでツイッターにうまく連携されていないみたいなんだどどうしてだろう。 つなぎなおしてもうまく載らない。 パソコン開く暇がつくれない日々が続いても妄想は途切れないわけで。 そうしたらどこに吐き出すかってーとここなんですよね。 まったく稼働してないわけじゃないよーって言いたいのに、本家につながってるツイッターへ連携されていないとなると。

 まあいいか。 本家を少し変えたいなと思うんですが。



 もうすっかり初夏な感じですね。 GWの予定はほとんど入っていない。 これkらら入ることもないかな。

 今度のSUPER COMIC CITYにサークルで参加されるMadTeaParty様に、またもや『初戀』委託させていただくことになりました。 ほんとにいつも気にかけてくださってありがとうございます!!

    【SUPER COMIC CITY】2012/5/3 東京ビックサイト  東6ホール ま13a MadTeaParty様

 皆さまお近くにお立ち寄りの際はぜひ足を運んでいただければと思います。


2012/04/20 by ugetsu

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烏夏都 -ugetsu-
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